「左利きの憂鬱」の日記

思い通りにならない日々でも、腐らずに生きていく。

ちょっと怖い話。

債権回収にまつわる怖い話。

本店営業部時代に、連絡がつかなくなった顧客の元へ実地調査として先輩の代理で訪問。対象となるマンションに到着し、ターゲットの部屋へ行くと「すっかりもぬけの殻」となっている。早速、上司へ電話報告すると「隣の住人にいつ頃から不在か」を確認してこいとの圧迫な指示。「お前がやれよ」と内心思いつつ、指示通り、ノックすると、女性が出てこられて「知りません」との事。「そりゃそうだ、隣の家の事なんか興味ないよな」と思い、改めて報告の連絡を入れると「そんなので報告できるか!もう一回ちゃんと聞いてこい!」と叱られ、「はぁー?何で?めんどくさいなぁー」と思いつつ、仕事は仕事と気持ちを切り替え、もう一度ノックする。すると、今度は筋肉隆々な男性。「てめー、しつけーぞ。なんだてめー何もんだ。金貸しか?」と凄まれる。「いや、知人です(そう言うようにマニュアルに書いてあった)。最近連絡が取れなくて、心配してまして。」「そんなわけねーだろ。そんな時にスーツ着てくるか!(指摘が適切過ぎ!)てめー、肉体労働者舐めてんだろ。」と。どうやら、仕事終わりで一杯やって、おねえちゃんといい感じになるところに、私がお邪魔してしまったようだ。おねえちゃんは出て行ってしまい、怒り💢は増長。そこから玄関先で1時間程ずっーと「てめー家上がれ。じっくり話そうや。じゃねーと警察に突き出すぞ」とか脅され続け、さすがにくたびれ、「分かりました」と言ったところ、男は背を向けたので、「チャンス!」と思い、ダッシュで逃げた。ひたすら逃げた。すると、「待てー」とチャリで追っかけてくるではないか。「マジかー」と団地内で隠れたりしながら、恐怖と闘いながら、逃げ続け、何とか会社まで戻った。その顛末を、上司に話したら大爆笑。心配なそぶりもないこの上司を見て、いつの日か辞めてやると思ったものだ。

他にも、色々な体験をした。回収に行ったら、何故かドスをお持ちになってきている方や、契約の時に必要書類が不足しており、現金をお手渡し出来ず、怒って喫茶店で水をぶち撒かれた事、債権回収に伴う裁判経験など色々あった。

「名札つけて表出たら殺されても知らねーよ」

と言っていた最初の上司の言葉の意味が、実体験を伴って理解できてきた。貸金業(というか高利貸し)は、『ベニスの商人』の時代から「恨まれ、憎まれる」仕事なのだ、と思った。