「左利きの憂鬱」の日記

思い通りにならない日々でも、腐らずに生きていく。

「トリセツ」を作ってみる。

先日、難病患者の就業について考えるワークショップに参加させて頂きました。そこには、多発性硬化症、過眠症、パーキンソン病など様々な難病の方が参加されていました。

ワークショップでは、皆さんの日頃の苦労話や困っている事の共有がなされる中で、指定難病とされていない難病である「過眠症」の方から、症例のプレゼンがありました。

この時のプレゼンで、あるヒラメキがあったので、皆さまに共有させて頂く次第です。長文になりますが、お付き合い頂けますと幸いです。

 

指定難病か否かで、受けられる社会保障が異なってくる上、症状に対しての理解度も異なってきます。令和元年7月時点で指定難病は333もありますが、指定されていない難病は数多くありますし、希少難病という患者数が少なく、情報そのものが少ない難病も多くあります。指定難病以外の難病の方は、指定難病に比べて、更に苦しい立場にあります。

そこで、今回、非指定難病の「過眠症」の理解促進の為のプレゼンをお聞きする機会を得たわけです。

「過眠症」というのは、文字通り眠りすぎてしまう病気です。

どのくらいの眠さかと言えば、3日徹夜したくらいの眠さが襲ってくるようです。加えて、情動性脱力発作という症状では、喜怒哀楽に応じて脱力してしまう為、お笑い番組やスポーツ観戦などしていると、突然脱力してしまったり、階段などでぶつかられて怒りの感情が湧き出ると、脱力してしまい、階段から落っこちてしまう事もあると言います。

聞いているだけで、怖くなってきました。加えて、「過眠症」というネーミングから、大した病気ではないように思われてしまうのも課題だなぁと感じました。

それはさておき、一括りに「難病」といっても、「指定難病」と「非指定難病」があります。

同じ病気の方同士でも、症状の差があり、病歴や服用する薬によっても色々と異なる為、同じ病気でも第三者からみたら、「同じ病気なの?」という感じだと思います。

医療従事者であっても、経験によって、理解度はまちまちなのが実態です。ましてや健常者の方からすれば、難病患者に対して理解する必要すらないのかも知れません。

ただ、難病患者も生活をしていく必要があります。社会保障だけで生活が出来れば問題無いのですが、社会保障が手厚いと言われている日本においても十分とは言い難い現状です。ついては、難病患者も就業をする必要があります。

ここで、もう一つ大きな壁があります。「障がい者」か否か問題です。

障がい者手帳があれば、障がい者雇用の枠で採用される可能性が高まります。障がい者手帳を持たない、非障がい者である難病患者の場合、障がい者雇用枠での採用はされない為、健常者枠での就業をする他ありません。

この問題は、とてもややこしいです。健常者に近い障がい者の方は、健常者として働きたいけれど、企業とすれば障がい者雇用の方が、法定雇用率の問題をクリアでき、人件費も安く抑える事ができます。一方、非障がい者である難病患者は、障がい者枠でも、健常者枠でも雇用されにくい為、とても苦しい立場に置かれています。

根本的な課題解決には、今しばらく時間は掛かると思いますが、まずは雇用に直接的もしくは間接的に関わる「人事」「社会保険労務士」「医師」そして「当事者」の相互理解を深める必要性があると感じています。

その解決法の一つが「トリセツ」だと考えました。「トリセツ」には、大きく3つのパーツが必要だと考えます。①病気の説明書②病歴書③個別取扱説明書です。

①は、例えばパーキンソン病はこのような病気で、こういう症状が出ますといった事を説明する物です。これは、厚生労働省や製薬メーカーのホームページなどにもあるので、要約したり、見易く加工すれば比較的容易に作成できると思います。

②は、いわゆる病歴についての履歴書・職務経歴書といったところでしょうか。いつから症状が出て、どこの病院に行き、どういう検査を受け、どういう診断を受けたのかといった内容です。これは、就業の為だけでなく、障害年金の申請の際や、新しい医師へ自分の病状を説明する際にも活用できると思います。

そして、③の取扱説明書です。①、②を踏まえて、自身の症状はこういう事が起こりますと明記した上で、「こういう時に困るので介助して欲しい」あるいは「こういう時は放っておいて欲しい」などと明記しておく事で、雇う側がサポートできるのか否か判断つけられるかと思います。加えて、ご自身が得意とする事なども明記しておく事は、健常者の方の就業同様に大切かつ重要な事になってくると思います。

各病気の患者会毎にワークショップなど開いて、モデルケースを作るのも良いかも知れませんね。そして、指定難病、非指定難病問わず冊子か何かに取り纏めて、雇用に携わる方々のハンドブックとなれば、相互理解が進み、難病患者の就業の一助となるのではないかと考えた次第です。

道のりは長いかも知れませんが、誰かが一歩を踏み出していかないと現状は変わりませんからね。まずは、自分の出来るところから着手してみようと思います。こうしたら、もっと良いといった建設的なご意見はウェルカムですので、どしどしお寄せ下さいませ。

駄文かつ長文に最後までお付き合い頂き、ありがとうございました😊