「左利きの憂鬱」の日記

思い通りにならない日々でも、腐らずに生きていく。

日本一の「ツメ」。

新任のブロック長は、剣道でも日本一。

数字への執着心は、今まで付いた上司の中で頭抜けていた。「達成」は当たり前、「前倒し」で普通、「如何に前倒しするか」が彼にとっての重要なこだわりポイントだった。正直、「達成」だけでも大変なのに「前倒し?」とはありえないと思っていた。彼の下について、どうやって数字を作るのか分かってきた。ひたすら「量」をこなし、「ツメていく」のだ。

研修では、債権回収を考え、無理な貸付はするなと教わってきた。

彼は回収の事を考えていないのではないかと思うくらい、ドンドン貸し付ける。しかし、回収もしっかりやるのだ。だから、部下である私にも貸付も回収も「やれ!」とツメてくる。しかも、社内で同じシマの座席で、目と鼻の先にいるのに、30分に1回は電話で「ツメて」くる。リアルに睨まれながら、リアルな「罵声」と電話越しの「罵声」が相まって、逃げられない気持ちになり、精神的にもっともキツかった。体調も優れない。もうダメだ、辞めよう。

あと少しで、営業所長というところまで来ていた。

やりきって、卒業したかったが、もう限界だと思った。しかし、会社は甘くない。社長の命令か、私のような本社育ちの新卒は辞めさせてはならなかったようで、代わる代わる元上司達が連日の慰留。心身共にくたびれており、反論する気力も残っていない。要は、辞める事を撤回するまで慰留されるエンドレスゲーム。ばっくれる事も考えたが、そうした同期や先輩達の言われようは酷く、それだけはやめておこうと思った。苦しかったが、キレイに「退職」する為には、とりあえず営業所長になる方が良いと考えた。そこまでやった事を言い訳に辞めるという短期目標にすり替えた。そして、その方が一般営業で転職するよりもプラスになるはずだと自分に言い聞かせた。

ラソンでも、ゴールが見えない時が一番辛い。夜明け前が一番暗いとも言うが、「営業所長になって退職する」というゴールを設定した事で、やるべき事が明確になり、結果が出るようになる。不思議なものだ。すると、鬼👹ツメする上司とも上手くいくようになり、積極的にサポートしてもらうようになり、自宅に招いて頂くような良好な関係になり、結果として、やるべき数字を達成し、営業所長の資格を獲得する。その時、入社して丸2年が経過していた。